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ヤバいスーツ屋さん【dandyism wife】の壮大すぎる野望とは

ヤバいスーツ屋さん【dandyism wife】の壮大すぎる野望とは

ヤバいスーツ屋さん、ここにあります。

オーダースーツの社長さんにお会いできるということで、スーツをスマートに着こなした男性を頭の中に想い描いていた。

だから、私も服をばっちり決めてきた。

心の準備もできている…つもりだった。

———午後1時、落合南長崎駅前。

Tシャツと短パン姿のその男は、カフェオレを片手に灰色の空を睨んでいた。

彼をみつけ、私はこの人か?と検討をつけると同時に、あらかじめ抱いていたイメージとのギャップにたじろいだ。

正直ビビった。この人は絶対スーツ屋ではない。激しく帰りたい。

しかし彼を取材するため、ここまで来たのだ。

こんなところで引き下がるわけにはいかない。

恐る恐る、声をかけてみる。

すると、彼はにっこり微笑んでくれた。

あ、この人、いい人だ。

いや腕にがっつりタトゥー入ってるな?!(ダリだな?)

そんでこの髭なに?(ダリに憧れてるのか?)

タトゥーや髭など、その個性的すぎる見た目からの「強そう」よりも、その笑顔から「いい人」という印象を与える彼は、奥休場和真さん。 “株式会社dandyism wife” の社長だ。

駅前で一通りの挨拶を交わした後、奥休場さんに事務所へと案内してもらった。

私と取材に同行した編集長の井出崎は、期待と緊張の入り混じった表情で、室内へと招かれた。

うーん、オシャレな室内である。

これからどんな話を聞けるのだろうか…期待はさらに膨らむばかりだ。

そんな面持ちで、我々がオシャレな室内を嘗め回すように眺めていると

カルピス嫌いな人、いないでしょ」

と言って奥休場さんがカルピスを持ってきてくれた。

髭にタトゥーにオシャレな内装。

そしてこの白い液体、カルピスである。

どこまでミスマッチなのか?という突っ込みは、心の中にしまった(ありがたく頂いた)。

『こう見えて、スーツ屋』株式会社dandyism wifeに迫る

しかしそもそも、である。

dandyism wifeってどういう意味?

“夫を影で強く支える妻のような存在に。”

社長の奥休場さんは、それがdandyism wifeの由来だと言う。

うわあ、想像以上に良い由来…と感嘆の声が漏れたが、この会社は一体どんなことをしている会社なのか?という想いはますます深まるばかりである。

株式会社dandyism wife

株式会社dandyism wifeは、オーダースーツの会社である。

会社を切り盛りする3人は、なんと小学校の同級生だ。

くるんとした髭と腕に彫られたダリの絵が印象的な社長の奥休場和真さん。

【「写真撮ります」と言われると反射的に中指を立ててしまう危ない癖】が、彼にはあるようだ。

そしてこちらが、もしゃもしゃのヒゲ、元お笑い芸人、取締役の本田大志さん。

【「写真撮ります」と言われると反射的にわけわからないポーズをとってしまう性癖】が、彼にはあるようだ。

もう1人、pr担当としてコピーライティングも行うアンドウさんにはお会いできなかったのだが、お二人曰く「気難しいけど一周回っておもしろい」人らしい。 ちなみに彼も髭を口周り一周に生やしている。

全員髭やないかいと言うツッコミは心にしまい、一見スーツ屋に見えない同級生の髭三人が、何故スーツ屋を始めるに至ったのかを訊いてみた。

(面白過ぎるコピー。いや、本当にこの人達何やってんの?

特にホンダさん、反省してください。

インスタ @honda_taishi より引用)

dandyism wifeができるまで

社長の奥休場さんは、専門学校で被服を学び、ファッションの知見を深めるため様々な現場を経験した。オーダースーツのお店で店長を務めたこともあったが、経営方針への不信感を抱き、独立を決意。

一方の本田さんは、大学に進学し、卒業後に吉本のNSCに入学したが、芸人としては全く売れなかったと言う。お笑いの道を諦め、マクドナルドで「社員の座を狙い、イキり散らしていた」その時、である。奥休場さんからスカウトがかかり、本田さんは全く興味のないファッションの世界に足を踏み入れることになったのだ。

労働形態の悪さ、正反対すぎる上司の意見———最悪な二本柱の経験も手伝い、奥休場さんは、服屋として「一人を大事にしたい」という想いの元、「やれるところまでやってみよう」と本田さんに打ち明けた。絶対に彼に着いて行くと決めていたホンダさんが二つ返事で了承した後、現在に至る。

———そんな彼らの仕事は当然と言うべきか、ユニークである。

オーダースーツ屋の枠を超えた仕事

「社長とかダサい人が多いんですよ」

そう言い切るオクヤスバさん。おお…なかなか言いますねと思ったが、それも心にしまい聞いていると、彼は、そういう人こそ自分たちに仕事を頼んで欲しいと続けた。

確かに、彼らの写真だけ見て「この人たちはオシャレすぎるから自分にはレベルが高いだろう」と尻込みし、最初から頼まないと決める人もいるかもしれない。ファッションは怖いから。

ファッションは怖い。ちぐはぐな、チンドン屋のような格好になってしまったり、似合わない服を着た自分を街中の鏡で見るたびに帰りたくなったこと…そんな脳裏によぎる失敗が誰しもあるのではないか。

「でも、そんな人にこそ服を好きになって欲しい。」

dandyism wifeの目的はシンプルだ。

ファッションは怖くない、楽しいものだと思ってくれることがやりがいであり仕事をする意味だと彼らは言う。

オシャレな髭を携えたホンダさんも、いまでこそ好きになったファッションには元々興味が無く、原宿に行くたびに「怖い」とすら感じていたらしい。そんなファッションが怖いという人の気持ちが手に取るようにわかる彼だからこそ、成せる仕事があるのだろう。

例えば、オーダースーツ屋では通常考えられない、年間を通したファッションコンサルティングや、時には顧客の買い物に同行したりもする。なんなら顧客のタンスの中身はほとんど把握しているらしい。

もうそれオーダースーツ屋じゃないです……心の声はまたしまう。

“人で魅せ、技術を売るスーツ屋” が大切にするもの

しかしそんなオクヤスバさんだが、確定4割、暫定3割で計7割の人には嫌われるらしい。それでも、残りの3割に好かれればいい。ブランド名はない自分たちだが、人を大事にして、人で売りたい。

だから、何か特別なことがあった時に入れるというタトゥーも、正直な気持ちも、隠さない。お客さんと一線は引かない、そう決めている。

そうして築いた顧客との信頼関係はすごい。

例えば。

「6月1日に1周年を迎えたので、またスーツ作りませんか」と、以前注文してくれた方に(とりあえず)営業をかけたところ、彼は何も訊かずに「任せた」の一言で、またオーダーしてくれたこともあった。

「お任せで」「わかりました」で成り立つ関係というのは、アパレルメーカーに限らず、そう築けるものではないだろう。

人で戦うというあり方

直接会いに行く。

初対面の相手でも、臆することなく会いに行く。

それが彼らのやり方だ。

少なくとも私は、こんなに【自分】を隠さずに技術を売り込む服屋を、他に知らない。

そのようなフランクな彼らに、暑苦しさを感じてしまう人もいるのではないか、という想いが頭をよぎる。

しかし、そこを乗り越え、相手の懐に忍び込む彼らの在り方は、きっと素っ裸で、ありのままの自分で、真剣に相手と向き合いつつも、“本気でふざける” という想いを忘れないからだろう。

それにしても遊び過ぎなのが、この人たち。

一言で自分たちに全て任せてくれる人がいる。普通ならそれだけで満足してしまいそうな気がするが、まだまだ彼らのやりたいことは終わらない。

『普段は作業着やユニフォームを着て働く人にこそ、スーツを着てほしい。』

彼らは今、スーツを着ることによって生まれるギャップを表現する【worker】という企画を手掛けている。

これは、敢えてスーツとあまり縁のない人々に焦点を当て、彼らの働く姿、そしてスーツを着た姿を並べることにより、その人の在り方をより印象深く伝えるという試みである。

「働く姿も、ばっちり決めた姿も、両方かっこいいんだと知ってもらう写真集製作の企画を進めている」と、次の悪戯を打ち明ける少年のような笑顔で二人は話してくれた。

こちらは企画の一例として、造園業を営む水野さんを捉えたものだ。普段働く姿、そしてばっちりスーツを決めた姿、どちらも格好良く、そのギャップが心地よい非日常感をうまく演出している。

「これは完全に僕の趣味だ」と奥休場さんは言うが、その目は真剣であった。

その人がいつも働いている姿から、普段見せないスーツ姿をプロデュースし、写真に収める。そう、人々の様々な姿を切り取った、世界で初めての写真集を作る計画を彼らは企てているのだ。

彼らなら、全国津々浦々、どこまででも行くだろう。

そして、彼らの独特なムードで人々を惹き込み、笑わせ、ついには世界にただ一着だけのスーツを着せてしまうのだろう。

何と面白そうな企画。

確かに遊びどころ満載だ。

もちろん、コピーライティングはアンドウさんが行う。

「もうちょっとふざけてもいいんじゃない?」と、2人は意見することもあるという。

楽しい朝のミーティングが目に浮かぶ。

「スーツ屋」という枠にとらわれない彼らは「仕事と遊びの境はない。楽しい事を、本気でやる」と言う。まさに、日本のサラリーマンに聞いてほしい言葉ではないだろうか。

何でもない日に、スーツを着よう

そんな彼らには、一つの野望がある。

「6/1を、スーツの日にする」

なんと壮大な野望だろう。もはや全国規模であるその夢を語る彼らの目は、本当に輝いていた。

何でもない日だからこそ、スーツを着る。ただのスーツではない。遊び心満載な、その人にしかない一瞬を切り取った、世界に一つだけのスーツを、その日だけみんなが一斉に着るのだ。

また、彼らは「もう一度奥さんに恋をさせよう」というテーマも掲げている。

そんなことを楽しそうに打ち明けてくれるのも、人を本気で想う彼らの人柄があってこそなのだろう。

自分たちの作ったものに自信があるから楽しく仕事ができる。

人を好きだから、人を見るから、その人に似合うものがわかる。

そして何よりもスタッフ同士、互いを大事にし合う。

インターネットサイトで顔も見ず何もかも買えるこんな時代だからこそ、「生身の人」を相手にするサービスが求められるのかもしれない。

———彼らの人に対する情熱に心の声が漏れてしまったのは私だけではなかった。

俺もここでスーツ作りてえ… あ?と思い隣を見ると全身型崩れ気味のユニクロで揃えた編集長の井出崎が、恍惚とした表情を浮かべていた。お、嬉しいなというお2人に必ず稼げるようになってスーツ作りに行きます!と宣言し、取材を終え記念撮影をしようとしたその時ホンダさんが言う。

「井出崎君、チャック空いてるよ」

早くお金を稼いでdandyism wifeでスーツをお願いさせようと決めた瞬間であった。

会社情報

株式会社 dandyism wife

お問い合わせ:info@dandyism-wife.com

インスタ:dandyism_wife

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