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“本気カレー ガールズバー” 美人店長の目に映る【池袋】という街

“本気カレー ガールズバー” 美人店長の目に映る【池袋】という街

その日はひどい雨で、池袋という街の混沌とした雰囲気をさらに強調しているかのようだった。

西口を出ると、絡み合う異国風のカップル、雨に打たれる吐瀉物、見学無料と謳う風俗店の案内所、怪しげな照明を灯すラブホテル、あまり綺麗とは言い難い中華料理屋のとなりには小奇麗なイタリアンバルがそびえたち、ありとあらゆる情報量の多さにおののいた。

池袋という街は不思議なもので、様々な人々が行き交うことにより、情緒深さや時には猥雑さを感じさせる都会的な非日常がそこら中に転がっている。

———こんなところに、マジなカレーを提供するガールズバーがあるらしい…。

どう考えてもミスマッチである。

キラキラした女の子が茶色いカレーを提供している図が想像できないし、第一にキラキラした女の子が茶色いカレーを提供する意味がわからなかった。

半信半疑で池袋の街並みを眺めながら向かうと、あった。

———全くガールズバーだと感じさせないところが、この店の凄いところである。

ガールズバーだという情報は、申し訳なさそうに張られている広告二枚のみ。

恐る恐る入店すると、

カウンター内に綺麗な女性の姿があり、

彼女は「あー」とか「おー」とか言っていたので、

私が挨拶をすると、

彼女は私の挨拶を遮り、

続けざまに三回くらい「まあ座れよ」と促すので仕方なく座った。

本気カレーガールズバー

私の挨拶を遮り執拗に着席を勧める彼女は、この店の店長だった。

何と呼べばいいかと訊くと、

「メモちゃんでいいよ」

とおっしゃったので、これまた仕方なくメモちゃんと呼ぶことにした。

「まあ飲めよ」というので、ウイスキーの水割りを頂いた。

店長のメモちゃん

メモちゃんはパンチの効いたTシャツを着ていた。

完全に、カレー屋である。綺麗な女の子がお酒を提供し、なんだか酔ってきたなぁ、女の子可愛いなぁという時に女の子を見ても、この主張の強いTシャツのインパクトはいつだってすごい。

ところでメモちゃんは、元々銀座のバーで働いており、なんやかんやこの混沌とした池袋にやってきて、なんやかんやカレー屋をガールズバーにし、現在店長を務めている。

そして、彼女は特にカレーを愛してるわけでもないらしい。

「別にハッシュドビーフでもよかった」

らしく、さらに彼女の好物はそうめんであるため

「そうめんのガールズバー作ろうかなぁ」

とも呟いており、最高に粋だなぁと感じた。

———店名は本気と書いてマジと読ませてくるレベルの「マジ」なのに、店長のカレーに対する愛はそこまで強くない、というところがこの店の凄いところである。

ちなみに彼女の将来の夢は「金持ち」らしく、旦那に求める条件は「5億」とかなんとか。

本気カレー、食べる。

私が「カレーちょうだい」と言うと、

彼女は「え、食うの?」と神妙な顔つきをして渋々作り始めた。

———夜の池袋、ガールズバー、カレーライス。

彼女がカレーを温めている姿を眺めていると、なんだかこの時だけ不思議な家庭的雰囲気、そして生活臭さが漂ってくるような気がした。街を行き交う寂しい人々は、こうやって女の人がカレーを温める姿を見て、まやかしかもしれない生活という奴に浸っては、また混沌とした夜の池袋に消えていくのだろう…。

なんとなくこの店の存在意義がわかり始めた頃、カレーが出てきた。

おいしそーーーー!

頂きますーーーー!

うまい!!!

ところで、カレーに愛もなくて仕込みとかも色々あって、これほどまで美味しいカレーを作って出し続けるのは大変ではないのかと訊ねると、メモちゃんは「私は玉ねぎしか切らない」と言った。

「カレーはバイトの子が作る」という彼女の言葉に、私は頷くほかなかった…。

ジョニーさん、ご来店

カレーを食べ終えたころ、一人の男性が来店された。

彼はとても陽気な男性で、どうやら馴染みのお客さんらしかった。

私の顔を見るなり何やらよくわからない英語でまくし立ててきたので、私が「オー、イエス!イエス!」と言うと、彼は満足そうな笑みを浮かべて静かになり、私はなんだかなぁと思った。

「自称ジョニーデップで池袋の覆面警察」

というわけのわからない肩書を持った彼は、

「この店は嫌いだ、みんな嘘つきだ」

とかいいつつ、しっかりこの店を楽しんでるかのようだったし、とても明るく、良い人だった。

ここのカレーを食べたことあるのか、と訊ねると、

「私は美味しくて、良いものしか食べない」と彼は言った。

そうか、じゃあ池袋の奥深くのガールズバーで出てくるカレーは食べないのか…

と思った矢先、彼は自分の言葉に一拍置いて、

「でもここのカレーは、おいしいよねぇ!」

と笑顔で言うものだから、私もつい嬉しくて笑ってしまった。

バイトの子が作ったらしいけど。あのカレー。玉ねぎしか切らないメモちゃんもなんだか自慢げだったのは、今でもあまり納得はいっていない。

その後の会話の9割は下ネタで、本当に酷い下ネタばかりだったのでここには書きません。ひとしきり下ネタをぶちまけた後、ジョニーさんは満足そうな表情で颯爽と店を後にした。

本気カレーの魅力

本気カレーの魅力は、奇妙な空気感であると思う。メモちゃんも言っていたけれど、合う人、合わない人はハッキリ分かれそうだ。

しかしながら、彼女は「お金を払ってくれる、それだけの価値ある時間を提供しているつもりだし、当然だけどお金を払ってでも居たいと思える場にしたい」と言った。

私はメモちゃんについて本当に素敵な人だなぁと思ったし、素直にまた来たいし、ここに居就く人々の気持ちもわかる気がする。

そして、このお店の名誉のために書くが、ここのカレーはマジでうまい。スパイスなどもインドの上等なモノ(上の写真の茶色いヤツ)を使っていて、結構手が込んでいるそうだ。

バイトが作ったというのは照れ隠しで、本当はカレーを愛しているんじゃないの?という想いが脳裏をかすめた。しかしそれを訊ねたとしたら「いやマジでハッシュドビーフの方が好き」とか言われそうなので、敢えて訊かなかった。

代わりに、なんでガールズバーなのにカレー作ってるのかという単純な疑問をぶつけると、

「面白いから。別にハッシュドビーフでもよかったんだけど」

という答えが返ってきた。

もうそんなに好きならハッシュドビーフも出せばいいのに、と思ったが、やはりこのお店はそういうコンセプトで、そういう人が集まり、そういう役割を担っているのだ。

池袋という街の混沌とした空気感は、きっと、素っ裸になり、ありのままで生きている人々の行き交う姿なのだなぁとも思った。

「銀座で働いていた時は、やっぱり物凄くお金持った人たちが集まっていて、そういう面ではとびぬけている人達だったんだけど。この街は、彼らが持っていない何か突出したものを持っている人達で出来ている」

というメモちゃんの言葉に、ひどく共感した。

じゃあ帰るわ、とメモちゃんに言うと、

「まあ飲めよ」

と言って、彼女は無造作に私のグラスにウイスキーを注いだ。

———今日も池袋というこの街は、静まる時を知らない。

あとがき

本日は「本気カレー ガールズバー」に取材して参りました。

この記事をみた!と言ってこの店に遊び行くと、トーキングサービスが常人では気づかない程度に向上するらしいので是非行ってカレー食べてみてください。

そしてHPがマジで面白いので見てみてください。

本気カレー ガールズバー

アクセス:東京都豊島区池袋2-72-6
HP:https://t.co/qaD5M1knnw
twitter:@greatmajicurry

「Alones」第一弾の記事でした。当メディアは人々の色々な生き方を応援します。気軽にお問い合わせください。

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