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本の仕事|出版業界のビジネスモデルと現状・課題・これから

本の仕事|出版業界のビジネスモデルと現状・課題・これから

本を作りたい!…でも出版社って不景気なんでしょ?今後どうなるの?

本を作りたいと考える人たちは、必ずと言っても良いほど「出版社不況」の壁にぶつかっています。その不況の根本にはどんな問題があるのでしょうか?

今回は、「出版社で働きたい!」また「出版業界のビジネスに興味がある」という方の業界研究に役立つよう、ビジネスモデルや収益方法を紹介したのち、出版業界の現状・動向と、課題・これからを一挙に解説していきます。

出版業界の役割

出版業界とは、私たち消費者に出版物が届くまでの枠組みのことを指します。

出版業界の成り立ちを解説する前に、まずは出版物とは何か、どうやってできるかをご紹介します。

出版物とは何か

従来より、出版物とは出版社が取り扱う「書籍」という商材を指してきました。例えば、雑誌や本、漫画などが一番容易に想像できるかもしれません。

一方、今日では「出版」の定義もかなり広がっています。

例えば、紙媒体だけでなく、web媒体が扱うコンテンツも出版物と呼ぶことができそうです。なぜなら、インターネットの発展によって、電子書籍やウェブコンテンツ、ウェブメディアなどが急速に誕生し、出版社もこれらの媒体を扱い始めたからです。

さらには、漫画を原作としたアニメや映画はどうでしょうか。純粋な「出版物」と呼ぶことは難しいですが、実際に出版社は版権のもと、アニメや映画制作の一端を担っています。

実は、メディアミックスが当然のように起きている今日、活字コンテンツだけが「出版物」とは考えられていません。出版社による版権およびメディアミックスから生まれた動画コンテンツなども、「出版物」の要素を持っていると捉えられるでしょう。

出版物ができるまで

紙媒体でもweb媒体でも、コンテンツ製作において編集者・書き手という構図は変わりません。

編集…コンテンツの企画、書き手選定、編集管理
書き手…コンテンツ制作、ライティング

編集者が企画し、書き手がその意向のもと原稿を作り、それをまた編集者が出版物として昇華させる、という流れですね。規模は違えど、基本的に雑誌、小説、漫画、どれも同じ流れを追います。

出版業界のビジネスモデル

次に、出版物がどう私たちのもとに届くか、またどのような形で収益を得ているのか、以下で説明していきます。また、今回の記事では業界の課題をあぶり出すため、従来の紙コンテンツを出版物として解説していきます。

出版物が私たちのもとに届くまで

出版物は、まず出版社から生み出されます。そして取次という企業が、その出版物を全国の書店へ届けるという流通機能を担います。最後に全国の書店が、私たちに出版物を商品として届ける、という小売店の役割を担います。

以下では細かく企業の役割を説明していきましょう。

出版社

出版社の役割は、ザックリ言うと、出版物を作り、売る戦略を考える、

1、出版物=コンテンツを企画・制作し、商品にする(編集)
2、商品を売るための販促活動(営業・マーケティング)

です。

1に関しては、本を作る仕事です。編集者がイメージしやすいかもしれません。それ以外にも、作品の誤字脱字をチェックする校閲という仕事がありますね。

2に関して言うと、商品をどのように売りだすか、という上流の販促戦略を練る仕事です。また、クロスメディアを担う役割もこちらに入れてもよさそうです。例えば、小説を原作としてドラマ・映画化をする際は、出版社の人間が他社と渉外を行います。

取次

取次は、出版社(商品)と書店(小売店)を繋ぐ、流通の機能を担う企業です。

なぜ出版社と書店の間に取次が入る必要があるのでしょうか?取次の主な仕事は、

1、出版物仕入れ情報の集約
2、書店に対する営業、コンサルティング

という、出版社の商品がより消費者に届けやすくするためのものです。あくまで出版社は、商品を手掛けどうに売り出すのかを考えるまでが仕事です。一方で取次は、書店への販促活動を担っている、ということですね。

書店

書店は、小売店の役割を担います。つまり、商品をお店に置き、消費者に直接届ける仕事です。

また、書籍をただ陳列するのではなく、商品をいかに消費者に手に取ってもらうかを考えるのも、重要な仕事です。

収益方法

出版物を取り巻く収益方法は主に3つあると言っていいでしょう。

ここでは、大きく出版物の著作を有する出版社に焦点を当てていきます。

販売料

販売費に関しては単純で、出版物・書籍が売れた際に消費者から得られるお金のことです。

このお金を上記の図に当てはめれば、消費者(買い手)→書店(売り手)→取次→出版社、というように流れていきます。

広告料

広告費と聞いて中々ピンと来ないかもしれませんが、例えば雑誌を想像してみてください。

雑誌の冒頭などで、服や時計などハイブランドの広告を目にしたことがあるかもしれません。また、雑誌の後ろのページに、少し怪しげなサプリメントや筋トレアイテムなどの広告が集まっていたりしますが、雑誌は広告から収益を得ているという側面があります

またweb媒体の雑誌(webマガジン)などは、主に広告費によって収益化しているという現状があります。

著作料

著作料についてですが、こちらは出版物の著作権を他社に使わせることで利益を得るモデルです。

例えば上記でも述べましたが、書籍化した小説・漫画家について「アニメ化したい!」という声がテレビ会社や映画会社からあった時、出版社は彼らに出版物を使わせる代わりに著作料を得ます。

このモデルはクロスメディアに限らず、文房具やおもちゃなどのグッズ販売においても適用されます。

出版社の現状・これから

さて、以上では従来のビジネスモデル、業界について紹介してきました。

以下では、業界の全体像をふまえ、現状分析・そしてこれからについての考察を述べていきます。

現状と課題

なぜ「出版社は不況だ」と叫ばれるようになったのでしょうか。以下では、ここ数年間における市場規模の動向が言及されています。

2017年通期における書籍と雑誌を合わせたプリントメディアの出版物推定販売金額は約1兆3700億円になり、市場規模は過去のピークだった1996年に対して約52%にまで縮小する見通しだという。日本では「出版不況」といわれ続けて久しいが、雑誌は20年連続、書籍は11年連続の前年割れということだ。

(引用元:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/imreboot/news/1100765.html)

具体的に二つの問題があると私は考察しています。業界のビジネスモデル・市場規模を踏まえ、考察を解説して行きましょう。

取次の存在

出版業界の不況理由として、取次の存在意義が薄れているから、ということが言えそうです。

皆さんは書籍を購入する時、本屋まで買いに行きますか?それともAmazonなどのネットショッピング利用でしょうか。

10~20年前と比べ、ECサイトによる書籍購入は圧倒的に増えています。本屋で購入する理由がない、となると、本屋がつぶれ、出版状況を分析して本屋に書籍を届けるという取次の仕事は需要が減ってしまいます。

さらには、本屋で購入されるよりもAmazonなどのECサイトで購入された方が、仲介料が大きい。従って、Amazonで購入されることが増えレば増えるほど、版元に利益が還元されにくくなるのです。

さらにさらには、本屋が減るとどうでしょう?至る所にあるコンビニで扱う書籍の量が増えます。すると、本が売れないのに本を届ける先が増えるという流通のジレンマに陥ります。

ECサイト(Amazonなど)利用が増える
→本屋が減る
→取次の需要が無くなる
→版元への利益還元率が下がる

さらに…

→本屋が減り、コンビニで扱う書籍が増える
→本を届ける先が増え、コストがかさむ

インターネットの発展

次に、インターネットの発展も出版業界を揺るがす理由の一つです。

今の時代、私たちは無料で娯楽を享受できますよね。例えばyou tubeやtwitterなどのメディアは、お金をかけずに楽しむことができる娯楽です。となると、書籍などの紙媒体コンテンツの需要が下がるのも当然と言えるでしょう。

そのような現状で、出版業界がwebに目を向けることも必至と言えます。が、しかしここには2つ問題があります。

1、webでの収益化(マネタイズ)が非常に難しい
2、誰でもウェブサービスを通じて作品を発信できる
2に関しては、出版業界の存在を根本から問いただす課題と言えそうですね。

そしてこれから

それでは出版業界は今後どのような動向を辿るのでしょうか。

一つ言えるのは、電子書籍が今後の出版業界を大きく左右するでしょう。電子書籍が普及すれば、無駄に刷られて返品される書籍が減り、管理費などを含めたコストも削減できそうです。

また、サブスクリプション型の購読も一つの方法論としてありえます。月の課金型である、日経新聞の「読み放題」、ネットフリックスが「映画・ドラマ見放題」というモデルが一般的になりつつあり、今日の出版業界も、雑誌読み放題というサブスクリプション型サービスが成り立っています。

ちょっと待って!本屋は無くなるの?紙の書籍は?

いやいやちょっと待て欲しい…と言いたくもなりますが、本屋の小売りは非常に厳しいのが現実です。

本屋はただ「本を買う場所」という以上の機能を模索する必要があるといえます。

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