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マンガに関わる仕事がしたい!|マンガ業界の現状・課題・これから

マンガに関わる仕事がしたい!|マンガ業界の現状・課題・これから

日本人にとってはとても身近な存在である「マンガ」。マンガが我々日本人とこれほど親和性が高いのは、戦後の出版業界の活躍に由来しています。

海外ではアートの一つともされ、一冊数千円で販売されていることも少なくないマンガですが、いつ、どこでも、手ごろな価格で買えるインフラが整備されているのは、実は日本ならではの文化なのです。

しかし昨今の出版不況の加速により、マンガ業界は苦しい状況に立たされています。一方で多くのマンガアプリが誕生したこともあり、我々一般人には、マンガ文化自体の衰えはあまり肌で感じられないかもしれません。

今回は「マンガで食べていきたい!」という漫画家、編集者志望の方や、「実際今のマンガ業界ってどうなってるの!?」という方に向けて、マンガに関わる職業ごとに、その現状や課題、そしてマンガで生活していく可能性を示します。

(執筆協力:「まんがたり」より、前田雄太さん)

マンガ業界の仕事まとめ

漫画家について

漫画家の仕事

マンガ文化そのものの担い手である漫画家。彼らの仕事は、映画やアニメといった他の文化と比べて、相当に個人プレーであると言えます。漫画家に必要とされるスキルは以下の二つ。

・コンテンツ力
・作画力

です。面白いストーリーを考えるための「コンテンツ力」。そしてそれらを表現するための「作画力」。この二つが融合し、初めてマンガは誕生します。

しかし近年ではpixivkindleなどの誕生により、編集を介さずに作品を投稿できる環境が整ったため、作画力が足りなくとも、コンテンツさえ面白ければ注目されるというケースも増えてきたようです。

更にはコンテンツと作画を分業し、一つの作品を共作する作家も増えてきているため、両方の力を持っていないと漫画家にはなれないとは、一概には言い切れません。

漫画家になるには

漫画家になる方法は、実はあまり多くありません。大きく分けて

・出版社に自身の作品を持ち込む
・マンガ雑誌などの新人賞に応募し、入賞する

の二つが王道です。漫画家として自身の作品を世に送り出すためには、プロの漫画家のアシスタントをして修行を重ねながら、自身の作品を根気よく描き続ける必要があります。

最近では漫画家養成のための専門学校も増えたため、そこでマンガを描くための技術を一通り習得してから、アシスタントとして働き始めるのが一般的なようです。

また近年は同人誌活動や、上記の通りイ ンターネットで個人作品を公開し、それが出版社の目に留まってプロデビ ューということもあり得ますが、かなりレアなケースと言えるでしょう。

編集者について

編集者の仕事

編集者とは、漫画家が描き上げた作品が、読者の手元に届く形に仕上がるまでを担うお仕事です。その仕事内容は、漫画家との原稿の打ち合わせや精査だけではありません。印刷会社との連携や、スケジュール管理など、マンガを描く以外のマンガ制作に関する部分をコントロールしているのです。

また、編集者は基本的に出版社の社員であるため、作品を持ち込んできた新人漫画家との面談や育成も行います。

出版社ではなく、編集プロダクションに所属する編集者もいます。編集プロダクションとは、大手の出版社から業務委託を受け、作品の編集や制作を代行する会社を指します。大手の出版社は週刊誌等の編集に追われ、どうしても単行本編集に時間を割くことができません。そこで、出版社が編集プロダクションに外注し、編集プロダクションが制作後、出版社に納品するという流れが主流になりました。

編集者になるには

編集者は基本的に出版社や編集プロダクションに所属することが一般的です。その為、大卒以上の資格は必須でしょう。

また漫画家とタッグを組んで作品を練ったり、漫画家自体の育成に携わる機会が非常に多いため、マンガに精通している必要があります。多くのマンガ作品を読み、また自らも面白いストーリーや世界観を考える力が持てれば、可能性は更に広がります。

マンガ業界の現状・これから

漫画家の現状と収入

プロへの険しい道のり

作品が当たれば莫大な収入が手に入るのが漫画家という職業。では、漫画家はローリスクハイリターンなのでしょうか?

現在の漫画家が約6000人~7000人。この中で生活が安定しているトップの漫画家はせいぜい100人程度です。さらにアシスタントの数約2万5000人や、さらに多いとされる潜在的な漫画家志望者を考慮すれば、漫画家として成功する確率がいかに低いか想像に難くないでしょう(マンガ制作・流通技術ガイドより引用)。

つまり、プロの漫画家の入り口に立てる人は漫画家志望者のわずか数パーセント。そこから継続して連載し、生活を維持できる人は更に数パーセントだと言うことができます。

漫画家の収入

給与の面ではどうでしょうか。現在の漫画家のお給料は、大きく分けて連載の「原稿料」と、単行本の「印税」があります。

まず現在の連載漫画家の原稿料は、1ページあたり約1万円前後が相場なようです。掲載枠一つがおよそ20ページだとすれば、週刊誌なら月収はおよそ80万円。悪くないように思えます。しかし実際はアシスタントに支払う給料と、紙やインク、家賃などの経費でほとんど底を尽きてしまい、場合によっては逆に赤字に、なんてこともあるようです。更には出版不況の影響もあり、今後原稿料はますます低下する可能性もあるのです。

単行本の印税はどうでしょう。単行本は雑誌と比べても、そこまで売上は落ちていないようですが、実はこちらの収入も決して良いとは言えません。

漫画家の受け取る印税は約10パーセントです。単行本一冊500円とすれば、一冊につき印税は50円。1万部売れても50万円です。およそ3カ月~4カ月ごとに新刊が発売されるので、年間では150万~200万円になりますが、安定した生活ができる金額とはとても言い難いでしょう。

しかも、連載自体が終わってしまえば、これらの収入はゼロになってしまうのです。

人生をかけて漫画家になろうとしたところで、プロになるまでも大変なら、なってからも大変なのです。これでもローリスクハイリターンと言えるでしょうか?

編集者の現状と収入

マンガは搾取ビジネスだと揶揄されることもしばしば。しかしその背景には、そうせざるを得ない出版業界の苦しい現状があります。そこで働く編集者もまた、当然ながら苦境に立たされています。

本の仕事|出版業界のビジネスモデルと現状・課題・これから

大手出版社のマンガ雑誌でさえ、現在の売り上げは最盛期の約6分の1と言われています。多くのマンガ雑誌が売り上げ100万部を切っている中、わずか30万部にまで下がっている雑誌もあるのです。

冒頭で、戦後の出版社の努力が、安くマンガを購入できるインフラを整備したとお話しましたが、今ではそれが苦しい状況に拍車をかけています。大手の出版社であればともかく、小さな出版社や編集プロダクションは今後ますます減っていくかもしれません。当然そこで働く編集者も職を失います。

大手の出版社に就職できればまだ良いですが、先述の出版不況の影響もあり、採用は非常に狭き門です。またお給料も高くはない一方で、仕事内容はかなりハードだと言えます。漫画家と比較すれば随分生活は安定するでしょうが、それでも漫画家同様、編集者になることも、なってからも大変なのです。

電子書籍・マンガアプリはマンガ業界を救ったか?

マンガ雑誌の著しい売り上げ低下に比べ、電子書籍の売り上げは目立って低下しているということはないようです。また、最近では会員登録制のマンガアプリが数多く開発され、今までのようなビッグタイトル以外のマンガが我々一般人の目に止まる機会も増えています。

それでは、これら電子書籍やマンガアプリの登場により、マンガ業界は回復したのでしょうか?

答えは半分イエス、半分ノーです。電子書籍やマンガアプリなど、作品を掲載するスペースが増えたことで、漫画家が連載を持つ機会は飛躍的に向上したでしょう。

一方で、収益面を見てみると、二つの問題が浮き彫りになります。

①漫画家の仕事が増えれば増えるほど、一人当たりの収益は低下する

②電子書籍と紙の単行本では、印税の入り方が異なる

まず①に関してですが、消費者が増えないことには収益の向上はあり得ません。消費者の母数が固定的なまま、新しい作品が市場にどんどん参入すれば、漫画家や出版社1単位あたりの収益は薄まるばかりです。作品を発表できる場が増えること=漫画業界の売上げ向上の図式は、必ずしも成り立たないのです。

続いて②ですが、これは印税収入の構造に問題があります。紙媒体では、売上が伸びずとも、出版された冊数分の印税が必ず作家に届きます。しかし電子書籍は、ネット上で売り上げた冊数分しか印税として認められません。従って電子書籍は紙媒体と異なり、読者の消費量がダイレクトに作家の収入に影響を与えるのです。

①、②の問題点は、両者ともに消費者が増えないことに起因しています。しかしながら、マンガの消費者母数を底上げするというのは、簡単な話ではありません。今後はより多くの読者を獲得することよりも、それぞれの読者の需要にぴったり当てはまる作品を適切に供給できる仕組み作りや、作家の固定ファンを得るビジネスモデルを構築することが肝要だと言えます。

漫画家の苦境を変える?「まんがたり」が見出す “漫画の本当の力”

「ファンビジネス」を始める前に知っておくべきウェブサービス まとめ

終わりに

以上のように、マンガ業界の解説をする上では、どうしても苦しい話が目立ってしまいます。

しかしながら、魅力的な仕事であるのもまた事実です。マンガが大好きな方であれば、自分の価値観をマンガで表現したり、面白いマンガを世の中に送り出すという仕事に、とてつもない遣り甲斐を感じることができるでしょう。

その為には、上記のような苦しい現状を熟知した上で、自分がどのようにしてマンガに携わりたいのか、何をどの程度重視しているのかを、正確に見極めることが重要です。

マンガを描きたいのか、それともマンガ業界を支えたいのか。継続的な給料を求めるのか、それとも生活を捨ててでもマンガに没頭したいのか。漫画家志望であれば、雑誌に載りたいのか、それともマンガを描いて生活できるならどんな方法でも構わないのか。

自分の道筋を示し、将来に対する強固なストーリーを構築することは、面白いマンガを考える上でも大事なことかもしれませんね。

 

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